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歯は何からできているの? くま先生が教える歯の基礎知識

普段はあまり意識することはありませんが、虫歯になったり、知覚過敏になったりすると、歯の健康のありがたみを感じることがあるのではないでしょうか。

日々の食事では大車輪の活躍をしていて、食を楽しむという私たちの人生に欠かせない習慣に一役買っている歯。でも、そんな大事な歯であるのに、歯について学ぶ機会はほとんどありません。

この記事では、歯のコンシェルジュであるくま先生と診察に来た患者さんの会話から「歯の基礎知識」についてお伝えしていきます。

歯は3つの層からできている

さっそくなんですが、歯ってなんで白いんですか?
身体の中で、こんなに白いのって歯だけですよね。

良い質問ですね。
歯の白さについて説明するためには、まず歯の構造を知ることが大切です。
ところで、歯は何層からできているか知っていますか?

え? 歯は何層かに分かれているんですか。
2層くらいかな?

惜しい。正解は3層です。
歯は3つの層からできていて、まず歯の表面の一番上の層を「エナメル層」といいます。
このエナメル層のうち、96%は「ハイドロキシアパタイト」と呼ばれる硬い組織で、リン酸カルシウムや水酸基という成分で構成されています。

一番上のエナメル層が白いから、歯が白いんですね!

いえ、違います。
実はエナメル層は半透明で、その内側にある中層の「象牙質」が乳白色なので、それが透けて歯が白く見えているんです。

半透明なエナメル層の下に乳白色の象牙質ですか。

象牙質は、エナメル層と比べてやわらかくて柔軟性があるのが特徴です。もし外側のエナメル層が欠けてしまった時に、柔軟性がある象牙質があることで歯全体の破損を防ぐ役割をしています。
ちなみに、象牙質の約70%は、先ほども出てきたハイドロキシアパタイトという硬い組織でできていて、残りの30%は、線維性タンパク質のコラーゲンでできているんですよ。

だんだん歯の全体像が見えてきました。
3つ目の層はなんていうんですか?

象牙質の内側にあるのが「歯髄」という組織で、この部分はとても重要な役割を果たしています。
たとえば、虫歯になった時に、冷たい水がしみた経験はありませんか?

あります!
それって歯髄と関係があるんですか?

そうなんです。歯髄には、歯に栄養を送る神経や血管が通っています。つまり歯はこの歯髄から栄養をもらうことで、健康な状態をキープしているんです。
虫歯になった時に、痛くなったり、冷たい水がしみたりするのは、虫歯が奥まで到達してしまってこの神経を刺激しているからなんですよ。

外から見てもわからないけど、歯って意外に複雑な構造をしてるんですね。

歯の役割をチェック

では、歯って何のためにあるのか知っていますか?

もちろん。
歯がなかったらまず食べ物を食べられないですよね。

そうですよね。歯の一番の役割は、食べ物を噛んで咀嚼することです。
もし歯がなかったら食べ物が咀嚼されず直接体内を通ることになり、喉や胃、腸などを傷つけてしまいます。
それだけでなく、消化がされにくくなるため、健康状態にも悪影響を及ぼします。

なるほど。
噛むってすごく大事なんですね。

歯には食べ物を小さく噛み砕くための機能が備わっています。
まずは、上下の前歯と犬歯で食べ物を噛みちぎります。

犬歯って長くて尖ってますから噛みちぎるのに活躍しそうですね。

そうなんです。犬歯は長い根っこを持っていて強度があって丈夫なので、前歯や奥歯にかかる負担を少なくする役割があります。
食べ物は前歯や犬歯に噛みちぎられ小さくなり、さらに奥歯に噛み潰されて細かくなり、無事に喉を通って胃や腸に送られるのです。

なるほど!
歯の形によって役割が違うんですね。

ところで歯はどれくらいの硬さだと思いますか?
そうですね・・・ガラスと比べたらどっちが硬いでしょう?

うーん、ガラスのほうが硬いんじゃないですか?

実は、ガラスより歯のほうが硬いんです
少し専門的な話になってしまいますが、物質の硬さを10段階で表す「モース硬度」という単位があります。
たとえば、チョークの硬さは「1」、鉄や真珠は「4」、ガラスの硬さは「5」、ダイヤモンドは最高の「10」です。ちなみに、歯のモース硬度は、いくつだと思いますか?

ガラスより硬いということは・・・「7」とかですか?

大正解! 歯の表面にあるエナメル質のモース硬度は「7」です
人の骨のモース硬度は「4~5」なので、歯は体の中で最も硬い組織なんです。

まさか鉄とかガラスより硬いなんてビックリしました!
なんか自分がすごく強くなった気がします。

誰かに噛みつかないでくださいね(笑)。歯には噛むだけじゃなくてもう一つ重要な役割がありますから。

食べ物を噛む以外にも役割があるんですか?

はい。歯には、滑舌と発音の働きを補助するというもう一つの重要な役割があります。
もし歯がなければ、歯のない部分から空気が抜けてしまい、発音がしにくくなってしまうんです。
歯がきれいに並んでいるから、口の中の空気が抜けず舌の動きにも邪魔されずに発音をうまくすることができるんですよ。

たしかに、アニメとかで入れ歯が外れると何を言ってるかわからなくなるのを見たりしますね。

そうですね。
あれは結構リアルに起こることなんですよ。

毎日食事をしたり、歯を磨いたりしているのに、歯のことを何も知らなかったんだなと、あらためて思いました。
とても勉強になりました!

まとめ

歯について、知らないことが意外と多かったのではないでしょうか。

健康な歯が少なくなると、食べ物がしっかりと消化されず内臓に負担がかかり、身体の健康を損なうことにつながります。さらに歯を失い滑舌や発音に自信がなくなってくると、人とのコミュニケーションにも支障をきたすようになります。

健康な歯を保つことは体全体の健康につながっているという意識をもち、ぜひ毎日の歯のケアを大切にしてください。

監修

コンシェルクリニックグループ代表

日本抗加齢医学会 専門医


小谷 航(こたに わたる)

現在は全国10院で各種専門医が協力して顎顔面領域に特化した医療を展開しております。治療のコンセプトはアンチエイジング、究極の予防を標榜しております。
アンチエイジングの考え方のもと、皆様と一緒に長い人生を歩んでいければと考えております。よろしくお願いいたします。


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コンシェル歯科クリニック

投稿者プロフィール

くま先生
くま先生
アンチエイジングをコンセプトに治療するくま先生。歯や美容医療や薬など得意分野は多岐に渡る。教えてくま先生!と言われれば、一人ひとりの患者さんに寄り添ったコンシェルジュ的な存在として、どんな分野でも的確にアドバイスしていきます。患者さんだけでなく、先生たちにもアドバイスするよ。みんな、頼ってきてね。