口裂から咽頭に連なる器官。
口腔は歯、口唇(こうしん)、頬部、口蓋(こうがい)、舌、唾液腺などから構成されている。口腔内は歯を除き口腔粘膜によって覆われている。口腔粘膜は、常に唾液腺から分泌される唾液によって潤っている。
【口腔の主な器官】
1.歯
歯は食べ物を咀嚼するための硬い器官である。食べ物を細かく咀嚼することで嚥下しやすい状態にする。歯はエナメル質、象牙質、歯髄で構成されている。
2.口唇、頬
口唇は口内に食べ物を留めたり、発音や表情を作ったりする働きがある。内側は頬粘膜と頬筋、外側は皮膚で構成されている。
3.口蓋
口蓋とは口腔の天井部分のことであり、発声や発音、嚥下に大きな役割を果たす。口蓋の前方2/3部分は骨成分を含み硬口蓋(こうこうがい)と呼び、後方1/3部分には骨部がなく軟口蓋(なんこうがい)と呼ぶ。
4.舌
舌は哺乳・摂食・発音などの役割を果たす器官である。横紋筋という筋肉で構成された筋肉塊であり、この筋肉の動きによって口内の食べ物の処理や、複雑な言語の発話などが可能になる。
5.唾液腺
唾液腺は唾液を分泌する器官である。唾液には炭水化物の分解や、口腔内での咀嚼、嚥下、発声を助ける働きと口腔内の自浄作用がある。唾液の分泌がないと虫歯の原因となるプラーク(歯垢、歯の汚れ)の発生を抑えることができなくなる。*口腔*言語聴覚士
音声機能や言語機能、聴覚の障害がある人を対象に、その機能を維持・向上を図るため必要な検査や指導、訓練を行う専門職である。1999年に新たに作られた国家資格である。
医療現場ではSTといわれる。言語に関わる問題だけではなく、嚥下機能に問題のある患者に対しても評価や指導、訓練を行う。言語聴覚士の多くは医療機関で勤務しているが、その他、福祉機関や教育機関で勤務している場合もある。対象患者は先天的な疾患のある幼児・小児から脳卒中や認知症を患う成人、高齢者など非常に幅広い。