正しい歯磨きは虫歯を予防する上で欠かせないものになります。甘いおやつを食べるのを控えたり、歯磨き粉や口内洗浄液にこだわるよりもまず、正しい歯磨きを身に付けることが歯の健康への一番の近道になります。
「自分は正しい歯磨きができている」と自信のある方はあまり多くないのではないでしょうか。どうしても毎日やる以上、慣れてしまって漫然とやってしまいやすい側面があるのも事実です。
歯のコンシェルジュであるくま先生と診察に来た患者さんの会話から「正しい歯の磨き方」を学んでいきましょう。
今日もさっそく歯を診て行きますね。
あれ……?
歯の磨き残しが多いですね。しっかりと歯を磨いていますか?
ほんとですか!
しっかりと毎日10分以上磨いているはずなのにおかしいな。
もしかして、テレビやスマホを見ながら歯を磨いていませんか?
10分間歯を磨いているだけなのも暇なので、テレビを見ながら磨いています。テレビを見ながらならいくらでも歯を磨いていれますね。
テレビを見ながらの歯磨きが、磨き残しの原因かもしれませんね。
正しく磨けていなければ、いくら時間をかけても意味がありません。
長く時間をかけて磨けば磨くほどいいのではないんですね。
正しく磨けているなら、2分も磨ければ十分です。
短い時間でも十分に上下左右の歯や奥歯のすみずみまで磨けるようにあらかじめルートを決めておいて、毎回それに沿って磨く習慣をつけておくのがおすすめです。
なるほど、癖になるよう頑張ってみます。
どんな順番で磨くのがいいんですか。
さっそく正しい歯の磨き方を見ていきましょう。
右利きの人の磨き方の例です。
まずは下の歯から磨いていきます。
右下奥歯のほほ側からスタートし、そのまま前歯を磨いて、左下のほほ側を磨きます。
左下奥歯まで磨き終えたら、左下奥歯の歯の裏側を磨き、前歯の裏側、右下の歯の裏側へと磨き進めます。
次に上の歯ですね、右上のほほ側から、上の前歯へ磨き、左上のほほ側を磨き、そのまま左上の奥歯裏側、上の前歯の裏側へ磨いて、右上奥歯裏側まで磨き進めます。
下の歯の表側から裏側、上の歯の表側にいって裏側、というイメージですね。
左利きの人だったら右利きの人のルートを左からはじめるとまんべんなく磨けます。
人によって、歯並びはさまざまですから、いつも食べ物が詰まる場所があるなと感じる部分は重点的に磨くようにしてみてください。
また、自分では気づけていないところもあると思うので、歯医者さんに聞いてみるのもいいでしょう。
歯並びのよくないところがあるので、他のところよりも少し時間をかけてブラッシングするようにします。
磨いた後は、仕上げに15mlくらいの水で15秒ほど、うがいをするのがおすすめです。
そして、手鏡を使って磨き残しや違和感のある部分をピンポイントでチェックしながら歯が黒くなっているところがないかなど確認してみてください。
虫歯の早期発見につながることもありますからね。
わかりました。
ここまでの一連の流れを癖にできるように意識しながら磨いていきます!
他に歯の磨くとこの注意点などはありますか?
力の入れ過ぎには気をつけるようにしましょう。
歯を磨く時に、歯ブラシで強くゴシゴシと磨くのは、悪い例です。
そうなんですね。
よく磨けているような感じがして、力を入れてしまっていました。
例えば、「最近食事をするときに歯がしみる」ということがあるかもしれません。
それも力を入れ過ぎなブラッシングが原因になっている可能性があります。
力強く歯ブラシを握って歯に押しあてると、毛先が潰れてしまい、歯間に詰まった汚れを上手にかき出せません。
それどころか、歯茎を傷める可能性もある上、歯の表面が削れて磨耗してしまいます。
歯が削れてしまっていた可能性があると思うとちょっと怖いですね……。
そうですよね。
力の入れ過ぎたブラッシングを行うと、歯の表面が削れていってしまい、冷たいもので歯がしみるなど「知覚過敏症」の症状を引き起こす原因になりますから気をつけてくださいね。
わかりました。
どのくらいの強さで磨けばいいんでしょうか。
歯ブラシを握る適正な力加減は150〜200gといわれています。
家でできることとしたら、はかりなどで普段自分が歯ブラシを握るときと同じような強さで毛先を当てて、それくらいの数字になるか確認してみるといいですよ。
家に帰ったらさっそくやってみます!
今回もありがとうございました。
くま先生と患者さんとのやり取りから、正しい歯の磨き方について、見ていきました。
ただ時間をかけるのではなく、磨き残しのないようにすることが肝要です。自分の歯並びや癖に合わせた自分だけの歯磨きルートを、歯医者さんで相談しながら、作っていくといいかもしれません。
健康な口内環境を維持するためには正しい歯磨きが欠かせません。毎日の歯磨き技術を向上させ、いつまでも自分の綺麗な歯を保ちたいですね。
監修
日本抗加齢医学会 専門医
小谷 航(こたに わたる)
治療のコンセプトはアンチエイジングを標榜しており、顎顔面領域に特化した医療を展開しております。
アンチエイジングの考え方のもと、皆様と一緒に長い人生を歩んでいければと考えております。よろしくお願いいたします。
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