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歯のアーチってなに?くま先生が歯のアーチを広げる方法を解説

くま先生!

どうされました?

子供の歯並びや歯の健康のために何かしてあげられることってなんですか?

そうですね、、。
まず、第一に定期的に歯科クリニックで検診をうけることや、毎日の歯磨き。
そして日本人は歯のアーチが欧米人と比べて狭い傾向にあるので、幼少期のうちに拡大しておくことをお勧めします。
 
そうしましたら、今回は歯のアーチを広げる方法について詳しく解説していきますね。

よろしくお願いします!

正方形型、U字型、V字型って?

はじめに、日本人は永久歯が並ぶスペースが足りない方が多い傾向にあります。
歯のアーチには、U字型、V字型、正方形型があるのをご存じですか?

聞いたことないです。

これは形通り、正方形型が最も理想的な歯並びだといわれています。

正方形型は、永久歯が並ぶスペースがきちんと整っており、歯列の横幅が広いタイプの歯列になります。ニコッと笑った時に、歯が結構見える方っていますよね。
その歯列が正方形型か、U字型に近い歯列だといわれています。

V字型(狭窄歯列:きょうさくしれつ)はアーチが狭く日本人に多い歯列の形だといわれており、ずれが起こりやすい歯列の形です。

U字型は、正方形型とV字型の中間のアーチですね。U字型も比較的に歯列の横幅が広く永久歯が並ぶスペースがあるので、理想的な歯列ですね。

いわれてみれば、うちの子もV字型というかアーチが狭い気がします。

V字型のアーチですと、顎が小さく小顔の方が多い印象にありますが、実は歯並びに悪影響をもたらします。

歯列弓(アーチ)が狭いのに無理やり歯が並んでいる状態ですので、歯がねじれて生えたり、凸凹した歯並び(叢生)になりやすいといわれています。
凹凸した歯並びだと、きちんと歯磨きしたつもりでも磨き残しが多いので、むし歯になるリスクが将来的に高まります。

また、噛み合わせが悪いと、審美的な面だけでなく顎関節症や頭痛、肩こりの原因にもなります。

歯のアーチを広げるには?

でも、歯のアーチは生まれ持ったものだから、変えるなんて難しそうに聞こえますが、、。

まだ成長途中のお子さんですと、顎の発達を促すことで、歯列の幅を拡大する(顎を広げる)ことができますよ。

どうすればよいかというと、硬いものをしっかりよく噛んで食べることや、口周りや舌の筋肉のトレーニング、口周りの悪い癖を治すことが挙げられます。
 
まず、硬いものを幼少期からしっかり噛んで食べることによって、顎の骨に強い力が加わることにより、顎骨が刺激を受けてアーチが拡大し、永久歯がきれいに並ぶスペースができます。また、強い力で噛むことによって、口周りの筋肉が鍛えられるというメリットもありますよ。
 
筋肉に関しては噛むだけではなくて、表情筋や口元の筋肉を鍛える必要があります。具体的に言うと、唇回り(口輪筋)やほっぺ(頬筋)や舌(舌筋)もトレーニングしてあげる必要があります。口周りの筋肉や表情筋が緩んでくるとお口ぽかん(口唇閉鎖不全)に繋がります。お口ぽかんは口呼吸、鼻閉、気道閉鎖、いびき、アレルギー疾患などの原因の1つになります。口周りの筋肉を中心に表情筋を鍛え口唇閉鎖不全を予防しましょう。

現代のお子さんは、昔の子供と比較すると、柔らかい食べ物を好む傾向にあります。柔らかい食べ物中心の食生活を続けていると、顎の成長が十分に促されません。

うちの子もカレーやハンバーグなどの柔らかい食べ物ばかり好むんですよね。
噛む力や口周りの筋肉を鍛えることが大切なんですね。

あとはお子さんにお口周りに悪い癖がないかを日常生活の中で確認しておくこともとても大事です。

どういったことを注意すればよいのでしょうか。

いつも口がぽかんと開いていないか(口唇閉鎖不全)、猫背になっていないか、頬杖をついていないか、指しゃぶりをしていないか、爪を噛んだりしていないか、うつ伏せで寝ていないかなどの日常生活の中で行っていないかを確認して、その癖を改善していくことで口元の筋肉や、骨の発育にいい方向に影響していきます。

のちの歯科矯正の負担を抑えられる!

もちろん、歯列矯正をしない限り、歯の向きなどに関するお悩みが改善するわけではありませんが、表情筋や口元の筋肉を鍛えることで顔が引き締まって、顎の発育がよくなるだけでなく、より精悍な顔つきになっていきます。

また、顎の骨を大きくしておくことによって歯を抜いたり、削ったりする必要がない上に、歯のアーチが広がり、永久歯が横一列にきれいに並ぶことでその後の歯科矯正の負担を抑えることができる効果が期待できます。

具体的にどういうことでしょうか?

例えば、アーチが狭い場合、成人している方の場合ですと、顎骨の成長はもう見込めないため、小臼歯を抜歯したり、歯を削ることで歯を並べるスペースを稼ぎ、歯科矯正を行うのが主流となります。

欧州で基本的にマウスピース矯正が主流なのは、顎が発達し歯のアーチが広い方が多いので、歯が並ぶスペースがきちんとあるからなんですよ。

へー。
あんまり欧米ではワイヤー矯正は聞かないなと思っていましたが、そういう理由があるんですね。歯が動くスペースがないタイプの歯列だと、成人している場合はほとんど抜歯あり矯正なんですよね。

ケースバイケースですが、歯のスペースが足りないのに無理やり歯を並べると、凹凸した歯並びになってしまって、いわゆるゴリラ顔になってしまう恐れがあります。

また、成人していても横や後方にアーチを拡大して非抜歯で歯科矯正ができる場合もありますが、成人していると顎の発達が止まっている状態ですので、アーチを拡大してから歯列を並べていく必要があります。

そうなると、他の歯科矯正方法と比較して治療期間が少し延びてしまう傾向にあります。また、成人してからアーチを拡大しようとすると歯肉退縮のリスクも少なからずあります。

なるほど。幼少期のうちに歯列を拡大させておいた方が、後々を考えるとメリットが高いということですね。つまり土台を整えるというイメージですね。

そうですね。
歯は28本(親知らずをいれると32本)ありますので、そのうちの小臼歯4本抜歯して歯科矯正をするとなると、なんとなく気持ち的に抜きたくないという方もいらっしゃると思います。

私は、抜歯矯正をしてきれいなEラインを手に入れることができたので後悔はないんですが、ただ、歯を抜かなくてもいい可能性は残してあげたいですよね。

はい。
ですので、お子さんに積極的にアーモンドやフランスパンなど硬いものを食べさせるようにしたり、口元の筋肉トレーニングや悪い習慣を取り除くという前提の上で、適切なマウスピースを入れてあげることによって正しい顎骨の発育が得られると思います。

くま先生のまとめ

現代では、柔らかくて美味しいものがたくさんありますが、硬いものをよく噛まないことで顎の小さい子供が急増しています。成長期にしっかりよく噛んで食べることで顎の発達が促され、歯列の横幅が拡大します。

また、口元の筋力の低下や筋力の低下からくる姿勢の悪さ、日常の悪い癖によって、顎骨の発育がいびつなものになったり、並びが悪くなったりというお子さんも増えてきています。

是非、意識して硬いものをお子さんに食べさせたり、口元のトレーニングを積極的に行い、悪い癖を指摘して治してあげるようにしましょう。

そうすると、顎骨の正しい発育が得られるようになり、永久歯がきれいに並び、後々抜歯をせずに歯科矯正を行える可能性が高まります。

監修

市ヶ谷コンシェル歯科クリニック

澤谷祐大(さわたに ゆうた)

獨協医科大学医学部歯科口腔外科にて研鑽を積み、2023年より市ヶ谷コンシェル歯科クリニックにて勤務。大学病院に行ってと言われた親知らず、どんな親知らず抜歯でも、市ヶ谷コンシェル歯科クリニック澤谷にお任せ下さい。


市ヶ谷コンシェル歯科クリニック


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投稿者プロフィール

くま先生
くま先生
アンチエイジングをコンセプトに治療するくま先生。歯や美容医療や薬など得意分野は多岐に渡る。教えてくま先生!と言われれば、一人ひとりの患者さんに寄り添ったコンシェルジュ的な存在として、どんな分野でも的確にアドバイスしていきます。患者さんだけでなく、先生たちにもアドバイスするよ。みんな、頼ってきてね。