くま先生
インプラントを入れたいのですが、手術に対する恐怖心が強くて..。
いまいち踏み切れません。全身麻酔で受けることはできるのでしょうか?
一般的にインプラント治療は全身麻酔ではなく局所麻酔で行います。
しかし、手術に対する恐怖心や緊張が強い場合、静脈内鎮静法という選択肢があります。
静脈内鎮静法!?詳しく教えていただけますか?
もちろんです。
そうしましたら今回は「静脈内鎮静法」をご紹介していきますね!
よろしくお願いします!
インプラント治療は、一般的に局所麻酔で行われます。
手術部位周辺に局所麻酔を打つことで、意識を保ったまま手術を受けることができます。麻酔を打つことで、術中の痛みを完全に無くすことができます。
しかし、初めてインプラントをされる方は恐怖心が強いかもしれません。
局所麻酔のみでは手術に対する恐怖心までは完全に取り除くことができないので、どうしても緊張や不安が強い場合は静脈内鎮静法を実施することも可能です。
全身麻酔と静脈内鎮静法は、どちらも手術中に患者さんに麻酔を与える方法ですが、その効果や投与方法に違いがあります。
全身麻酔 (General anesthesia )は、点滴から麻酔薬を投与します。約10秒後に意識を失ったのを確認したあとで、口から気管へチューブを通して人工的に気道を確保します。
手術中は完全に意識がない状態ですので痛みや恐怖心を完全に取り除くことができますが、少なからずリスクはあります。安全に手術が行われるよう、麻酔科医は患者様の心拍数、血圧、呼吸数、体温、酸素飽和度などのバイタルサインをモニタリングし続ける必要があります。
一方、静脈内鎮静法(Intravenous sedation) は、腕の静脈から麻酔薬を投与することで、リラックス効果を得ることができる麻酔方法です。
静脈内鎮静麻酔を受けることでウトウト眠ったような感じになりますが、完全に意識を失うことはありません。うっすらと意識はあるため、呼びかけに応じることができる患者さまもいらっしゃいます。
この麻酔法は、主に歯科治療や美容医療などの比較的簡単な手術を行う際の緊張や不安を取り除くために用いられることが多いです。静脈内鎮静法は全身麻酔と比べリスクが低く、副作用が少ないことが特徴です。
鎮静作用の強さは、投与される薬剤や量、患者様の体調によって異なります。
静脈内鎮静法を受ける前に、担当医から薬剤や効果、副作用について再度詳しくご説明いたしますのでご安心ください。
静脈内鎮静法が効かない方は、稀に存在します。
主な理由としては、以下のようなものが考えられます。
アルコール:肝臓や腎臓などの臓器の働きが低下している場合は静脈内鎮静法が効きづらく、健康な方と比較すると副作用が発生しやすい傾向にあります。
お酒を飲むことが多い方は、肝臓での薬物代謝の速度が遅くなってしまうことがあります。薬剤の代謝も遅くなるため、薬剤が体内に留まり、効果が強く現れる場合があります。
また、静脈内鎮静法を受ける前日にアルコールを摂取することは禁物です。
アルコールは肝臓で代謝されるのですが、その過程でアセトアルデヒドという有害物質が生成されます。アセトアルデヒドは麻酔薬と相互作用して、麻酔作用を増強させてしまうことが知られています。
また、前日のアルコール摂取は肝臓の機能を低下させ、麻酔薬の代謝に影響を与える恐れもあります。前日はもちろん、可能であれば、2.3日前からアルコールを控えていただくほうが望ましいです。
薬物耐性:向精神薬(精神安定剤、抗不安剤など)や長期的な鎮痛薬の服用が原因で、薬物耐性が高くなっている場合、静脈内鎮静法が効きづらいことがあります。
はい、静脈内鎮静法の量は、個人差や患者様の状態によって異なります。
担当医は、患者様の体重、身長、年齢、性別、病歴、内服薬、アレルギーの有無などを考慮し、麻酔薬の種類と量を決定します。患者様の状態や手術内容に応じて、投与する薬剤の種類や量を調整する必要があります。
術中は、患者様の状態を常に気を配り、必要に応じて投与量を調整しています。
くま先生のクリニックでは、麻酔科医が静脈内鎮静中のコントロールを実施いたしますのでご安心ください。
静脈内鎮静法を受けた後、麻酔薬の効果が残っている場合は車の運転は危険です。
静脈内鎮静法を受けた患者様は、しばらく麻酔薬の影響で意識がぼんやりしたり、判断力や反応速度が低下してしまうことがあります。
手術後は、静脈内鎮静法の効果が完全に切れるまで院内でしばらく安静にしていただいております。
症状が現れない方が大半なのですが、稀に麻酔薬の副作用によって、めまいや吐き気などの症状がしばらく現れることがあります。
万が一に備えて、静脈内鎮静法を受ける際は、ご家族やご友人に迎えに来てもらい、公共交通機関やタクシーを利用することをおすすめします。
今回は「静脈内鎮静法」をご紹介いたしました。
局所麻酔でも患者様がリラックスして施術を受けられるよう最善を尽くしています。
しかし、どうしても恐怖心が強い場合は静脈内鎮静法で快適に手術を行うことができます。ご希望の方は事前にご相談ください。
また、睡眠不足だと体力や免疫力が低下してしまうので、手術前日は十分な睡眠をとって体力を回復しておきましょう。
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