はじめにインプラント治療とは？

インプラント治療では、歯がなくなってしまった場所に人工歯根としてインプラントを骨に埋め込むことで、本来の自分の歯のような審美性や機能性を取り戻すことを目的とした治療のことです。

一般的に、人工歯根（インプラント）を埋め込む際に顎骨が十分にある状態であれば、抜歯即時挿入といって歯を抜歯してすぐにインプラントを挿入することができます。

反対に、顎の骨が十分にない場合は、インプラントを埋め込む際の前準備として骨幅・骨量を増やす処置であるサイナスリフトもしくはソケットリフトを行う必要があります。
このため、手術後に骨が形成されるまでに約数か月から半年ほどの期間が必要となり、治療期間が長くなることがあります。

そもそも幹細胞とは？

幹細胞とは人間の身体のなかで、どのようなものにでもなれる細胞のことです。

幹細胞は特殊化されていない細胞で、自己複製能力と分化能力があります。
つまり、自己複製能力によって、自分自身を増殖させることができ、また分化能力によって、特定の機能を持った成熟した細胞に分化することができます。

人間は受精卵から細胞分裂を繰り返して胎内でさまざまな臓器や器官を形成していきます。そして、産まれてからもそれぞれの細胞が分化と増殖を続けています。
例えば、骨折してしまった場合に骨が再生して接合されますが、この役割を担っているのが幹細胞です。骨だけではなく皮膚や神経、筋肉や内臓など、どのようなものにも変化できる性質を持っています。
近年、ノーベル賞受賞で注目されている「IPS細胞」も幹細胞のひとつです。そのほかには「胚性幹細胞（ES細胞）」や「成体幹細胞」などが、幹細胞に含まれます。

幹細胞には細胞増殖や再生に必要な成分が含まれているため、再生医療分野や医療分野でも幹細胞を利用した治療法が注目されています。市販で販売されているものは濃度が薄いですが、幹細胞上澄み液を肌に塗布することで、シワやシミの改善、肌のハリUPなどにも期待することができます。

例えば、幹細胞を用いた再生医療では、患部に幹細胞を注入することで、細胞や組織の再生を促すことができます。簡単に言うと傷ができた細胞の修復が促進され、治癒が通常よりも早くなるということです。

何が含まれているの？

幹細胞上澄み液に含まれる成長因子は、多岐にわたりますが、一般的には以下のものが含まれます。

・繊維芽細胞増殖因子（FGF２） 繊維芽細胞の増殖を促進する作用があることから、傷や組織の再生を促す効果があります。

・上皮増殖因子（EGF） 上皮細胞の増殖を活性化させる作用があり、ターンオーバー促進など皮膚再生などに応用されています。

・ヒト成長ホルモン（hGH） 細胞増殖や代謝を促進する作用があります。

・インスリン様成長因子（IGF-1） 細胞増殖や分化を促進する作用があり、組織再生の促進に応用されています。

・トランスフォーミング増殖因子（TGF-β）炎症や傷の治癒を促す作用があります。

幹細胞上澄み液×インプラント治療

幹細胞はインプラント治療へ応用することもできます。この治療法は、インプラントを埋め込む骨が不足している場合に有効です。

インプラント手術時に幹細胞上澄み液を人工骨などと一緒に傷口に注入することで、幹細胞が分化して新しい骨を生成するのを早める効果期待されます。

幹細胞上澄み液と組み合わせることで、単体でサイナスリフトやソケットリフトをするよりも早く新しい骨が再生され、治療期間も短くなるというメリットがあります。

歯周病によって失われた歯周組織の再生を促すことができ、インプラント周囲の炎症やインプラント周囲の歯肉退縮の予防もすることができます。

くま先生のまとめ

今回は当院の新たなメニューとして加わった幹細胞上澄み液についてご紹介いたしました。

骨の再生スピードにはもちろん個人差がありますが、3-4割程度早める効果が期待されます。

ご興味のある方はお気軽に当院にご相談ください。

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