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親知らずって何だろう?くま先生が親知らずを丁寧に解説

大人になってから生えてくる歯、「親知らず」。平均寿命がまだ短かった時代、その歯が生えてくる頃にはすでに親は亡くなっていることが多かったために、そう呼ばれるようになったと言います。

そんな親知らずはどのようなイメージを持たれているでしょうか。

「生えればいつかは抜かなければならない」
「生えたまま放っておくと痛みが出るんじゃないか」
「実は自分に親知らずが生えているのかよくわかっていない」

痛みの原因になるといった印象を持つ方から、親知らずについて実は何も知らなかったという方までいらっしゃると思います。

大切な歯を綺麗に保つためには、正しい知識を持つことが重要ですが、それは親知らずにおいても同様です。

そこで、この記事では「親知らずに関する疑問」に歯のコンシェルジュであるくま先生が答えていきます。ぜひこの機会に「親知らず」について学んでいってください。

親知らずってなんなの?

親知らずとは、10代後半から20代前半に生える永久歯で、前から数えて8番目の歯を指します。

そんな親知らずは上に2本、下に2本の計4本あるのですが、この全てが生え揃っている成人の日本人は約半数と言われています。古代人に比べ、小顔になり顎が小さくなってきているため、親知らずの数は人によって異なります。

「自分には何本の親知らずが生えているのか、知らない」という方は、ぜひ確認してみてください。

また、親知らずは、顎にスペースがないために、工夫して横向きに生えていることも多いです。磨きにくい部分ができたり、食べ物がつまりやすくなるので、横向きに生えていると感じた場合は歯科医院で相談してみてください。

親知らずは抜いた方いいの?

多くの方が気になるのが、生えてきた親知らずをどうすればいいのかではないでしょうか。その答えですが、生え方のタイプによって、対処方法が変わります。

親知らずの生え方は下の3つのタイプに分けられます。

1、まっすぐ完全に生えているタイプ
2、一部が露出しているタイプ
3、完全に埋まっているタイプ

まっすぐ完全に生え、上の歯と下の歯でしっかりと噛み合わせている、きちんと清掃ができているような1番の親知らずは、抜く必要がありません。

逆に噛み合わせに関与していなかったり、横向きに生えてしまった2番のような親知らずは歯周病や虫歯のリスクが高くなるため抜くべきでしょう。親知らずが虫歯になってしまうと、隣にある7本目の歯にも感染するリスクが高くなるので、注意が必要です。

3番目の完全に埋まっているタイプの親知らずは、虫歯の原因となる磨き残しが生まれることはないため、違和感がなければ抜歯をする必要はありません。ただし、これは顎骨内に完全に埋まっている場合です。口の中からは見えなくても粘膜の下、顎骨から一部出ていることは多々あります。もし歯茎に痛みや違和感が出た場合は、抜歯の必要性が生じるケースもありますので、不安な方は歯科医院で相談しましょう。※顎骨内に完全に埋伏している場合、嚢胞と呼ばれる袋を作ってしまうこともありますので、レントゲンの状況によっては抜歯をお勧めすることもあります。

親知らずってどんな治療をするの?

抜歯することに決まった親知らずは、しっかりと生えている場合、麻酔をしてヘーベルという機器で脱臼させて抜くことになります。あまり苦労なく抜けるので、患者さんもそこまで痛みを感じることもなく治療が終わります。

問題は、かなり深い位置に埋まっている親知らずです。下の親知らずの近くには、下歯槽神経など、顎から唇にかけての感覚を支配している神経もあるので注意が必要です。3次元的に把握できるCTを撮影し歯と神経の位置関係を確認してから抜歯を始めます。

親知らずを抜いたあとはどのように過ごすべき?

1分以内に抜けたような簡単な親知らずでもなるべく安静に過ごしましょう。親しらずの抜歯は外科手術ですので、見えない部分で身体には大きな負担がかかっています。

ガーゼを噛んで圧迫止血をした後は渡される抗生剤を飲むと感染予防に効果的です。

また抜歯後は口の中が気持ち悪く、気になると思いますが、なるべくうがいは控えてください。傷口は、血が固まって肉になって骨になって、治っていきます。頻繁にうがいをすると、血が固まらず痛みの原因の「ドライソケット」になってしまいますので要注意です。

親知らずを抜いたあとは痛いの?

「抜歯の後はしばらく痛いんだろうな」と想像されるかもしれませんが、親知らずを抜いた後の痛みは痛み止めでコントロール出来る範囲内ですので安心してください。

また、親知らずを抜いた後といえば、顔が大きく腫れてしまうことをイメージされる方も多いでしょう。腫れに関しては、骨まで切削していれば腫れて当たり前、腫れなければラッキーという認識がいいかもしれません。個人差がありますので、すんなり抜けた歯でも腫れる場合はあります。見た目は痛々しいかもしれませんが、腫れたからといって痛みが全くない場合もあります。

一方で、1週間以上痛みが続く場合も中にはあります。

感染してドライソケットになった場合です。ドライソケットの場合は抜歯をした後2、3日ほどを経てから痛みが強くなってきます

主な症状は顎や口の痛みですがさらに、以下の症状がある場合は抗口腔内の清掃と抗生剤の適応となっていきます。疼痛が強い場合はより強い痛み止めを適応します。

  • 嫌なにおい・口臭
  • ソケット内の目に見える骨
  • ソケットから耳、目、こめかみ、または首に広がる痛み
  • 口の中の不快な味
  • 抜歯部位の血栓の一部または全部の消失

1カ月程度痛みが続く人は稀です。

感染症状もなく、疼痛が続くといった方も見たことがありますが、その場合は、そもそも親知らずではなく原因は他の歯という可能性もあるかもしれません。

歯科医院で痛みや違和感について、よく相談してみてください。

親知らずの抜歯後の合併症について

1 疼痛

2 出血

3 腫脹

※上記は1週間程度かけて徐々に改善していきます。

4 感染

5 発熱

※2、3日間で解熱します。

6 下の親知らず:オトガイ部(顎から唇にかけて)の知覚鈍麻(麻酔が切れきれない感覚、しびれた感覚、触って感覚が分からない等)、舌神経障害(ピリピリする等)

7 上の親知らず:口腔上顎洞瘻孔(口と鼻がつながってしまう)、上顎洞への迷入(鼻の方へ歯が入ってしまう)

8 口腔内の損傷、口角炎

上記は一般的な合併症です。いずれも当院で対応可能ですので心配は不要です。

「抜歯後はしばらく仕事を休んだ方がいいの?」という質問をよく受けますが、仕事内容にもよりますが、基本的には必要ありません。ただし、術後1週間程度は無理せず、安静を心がけてください。

歯を抜きたくない人はどうすればいいの?

親知らずの虫歯リスクや歯周病リスクが高いことはわかるけれど、抜くのが怖いという人は、敢えて抜かずに定期的なメンテナンスをするという手もあります。定期的にクリニックにて清掃し、リスクをコントロールします。

また手術が怖い方には静脈内鎮静麻酔という方法があります。

腕に点滴を行い、寝ている最中に手術を終える方法です。対応している歯科医院はあまり多くないので、抜歯がどうしても怖いという方はぜひ検討してみてください。

まとめ

親知らずの基礎知識からその治療方法まで学んでいきましたが、自分だけで「まあ大丈夫だろう」と判断してしまうのは危険です。親知らずを抜歯するということになっても、基本的にどのクリニックでも保険適応になりますので、気軽に、かつ定期的に歯科医院にて痛みや違和感を含め相談してみることが重要です。

抜歯もやはり体に負担のかかる手術ですから、もし抜歯をすることになれば、メリットとリスクをしっかり説明してくれる先生に手術してもらってくださいね。

監修

市ヶ谷コンシェル歯科クリニック

澤谷祐大(さわたに ゆうた)

獨協医科大学医学部歯科口腔外科にて研鑽を積み、2023年より市ヶ谷コンシェル歯科クリニックにて勤務。大学病院に行ってと言われた親知らず、どんな親知らず抜歯でも、市ヶ谷コンシェル歯科クリニック澤谷にお任せ下さい。


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投稿者プロフィール

くま先生
くま先生
アンチエイジングをコンセプトに治療するくま先生。歯や美容医療や薬など得意分野は多岐に渡る。教えてくま先生!と言われれば、一人ひとりの患者さんに寄り添ったコンシェルジュ的な存在として、どんな分野でも的確にアドバイスしていきます。患者さんだけでなく、先生たちにもアドバイスするよ。みんな、頼ってきてね。