くま先生。
知人のお子さんがこの間、歯をぶつけた衝撃で歯が折れちゃって大変だったみたいで。
もし自分の子もこういう状況になった場合、どうすれば良いのでしょうか?
小さいお子さんはあちこち動き回るので、しっかり気を付けてみているつもりでも、いつの間にか怪我をしてしまっている..なんてことありますよね。
もしも乳歯に外傷を負ってしまったら、そのまま自己判断で放っておくのは危険です。
今回は乳歯をぶつけたときの対処法についてご紹介していきますね。
よろしくお願いします!
乳歯に強い衝撃を受けると、歯の神経である歯髄がダメージを受けてしまいます。
神経が死んでしまうと、歯に栄養が行き渡らなくなってしまうので、乳歯の色が茶褐色に変色することがあります。この状態を放置してしまうと、歯髄に炎症や感染が生じ、乳歯を残すことが難しくなる恐れがあります。
症状に応じて根管治療を行い、死んでしまった神経を取り除く必要があります。
乳歯が完全に抜けたように見えても、根っこの一部(神経)が残っていることもあります。
この状態のまま放置してしまうと、細菌が根っこの部分に入り込み、膿が溜まってしまうことがあります。
感染が進行すると、(永久歯の形成不全をきたしたり)その膿を避けようと永久歯が正しい位置や方向に生えづらくなり、嚙み合わせや歯並びの問題を引き起こす恐れがあります。
・乳歯が抜けてしまったり、折れてしまっても気になるからと言って手で患部を触ることはやめましょう。雑菌が入りこみ、感染を引き起こす恐れがあります。
・血が出ているからといって患部にティッシュなどで詰め物をすることも避けましょう。
・歯が抜けてしまってもゴシゴシ洗わないようにしましょう。地面に落ちて砂利やゴミなどが乳歯に付着していたらどうしても洗ってしまいたくなる気持ちはわかります。しかし、歯をゴシゴシ洗ってしまうと歯根と歯槽骨をつないでいる「歯根膜(しこんまく)」という組織まで剝がしてしまう恐れがあり、歯をくっつけることができなくなってしまいます。歯は抜けても洗わなくて大丈夫です。
・抜けた歯を拾うときも歯根膜をいじらないよう歯根部分ではなく歯冠部分を持つようにしましょう。
歯が抜けてしまっても、慌てずに冷静になりましょう。
歯が抜けてしまっても保存方法によっては乳歯をくっつけられる可能性があります。
抜けてしまった歯をビニール袋もしくはプラスチック容器等に詰め、生理食塩水や保存液、牛乳などにつけておきましょう。乾燥させないようビニール袋の口をしばり、容器をご使用の場合にはサランラップをかぶせ、30分以内を目安に歯科クリニックを受診しましょう。この応急処置をすることで、歯根膜が空気に触れる時間を短くすることができ、歯を残せる可能性が高まります。
どうしても出先などで牛乳や生理食塩水が手に入らない場合は抜けた歯をお口の中に戻し、乾燥させないようにしましょう。歯を飲み込まないようにご注意くださいね。
受傷直後のレントゲンで破折していないことが確認できても、実は亀裂があり、時間が経ってから破折線として写ってくることがあります。受傷後は定期的に歯科医院での経過観察が望ましく、特になかなか痛みが治まらない場合はその旨を担当の先生にお伝え下さい。
今回は乳歯をぶつけたときの対処法についてご紹介していきました。
乳歯が少し欠けたり、揺れているだけであっても、放置することはやめましょう。症状の有無に関係なく、歯に外傷を負ったときは速やかに歯科医院を受診しましょう。
いざというときにすぐに対処できるよう、かかりつけの歯科医院をみつけておくことも大切です。
監修
市ヶ谷コンシェル歯科クリニック
澤谷祐大(さわたに ゆうた)
獨協医科大学医学部歯科口腔外科にて研鑽を積み、2023年より市ヶ谷コンシェル歯科クリニックにて勤務。大学病院に行ってと言われた親知らず、どんな親知らず抜歯でも、市ヶ谷コンシェル歯科クリニック澤谷にお任せ下さい。
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