インプラント治療に関するよくある質問に勝手にお答えしていくコーナーです。 今回は、「インプラントの適応年齢」について解説させていただきます。この質問はよく受けます。 インプラントの適応年齢、若すぎる方もしくは高齢の方に対してインプラント治療を行う場合のリスクについて詳しく解説します。
インプラント治療の適応年齢は、一般的に18歳以上とされています。これは、顎骨の成長が完全に完了するのが18歳前後であるため(上顎10歳頃、下顎18歳頃)です。顎骨の成長が終わっていないと、長期的なインプラントの安定性や顎自体の成長を害してしまうなど、治療の安全性が保証されません。 一方、上限年齢に関しては特に定められておりません。事実、私自身80歳、90歳の方へのインプラント治療の実績が多数ございますが、全く問題ありません。高齢の方でも、全身の健康状態に問題がなければインプラント治療を受けることができます。ただし、個人の健康状態を考慮した上での治療可否の判断が重要です。
若すぎる年齢でのインプラント治療の最大のリスクは、顎骨の成長が未完了であるということです。顎骨が成長する過程で、インプラントの位置がずれてしまう可能性があります。この場合、再手術が必要になることが多く、大きな負担となります。
例えば、部分入れ歯やブリッジ等の代替治療を選択することも検討されます。これらの方法は、顎骨の成長を妨げる可能性は比較的低く、成長が完了した後にインプラントに変更することも可能です。
全身の健康状態がインプラント治療の成否に大きく影響します。例えば、糖尿病や骨粗鬆症などの慢性疾患を抱えている場合、インプラント手術後の治癒力が低下し、感染リスクが高まることがあります。また、薬物療法の影響で骨の回復が遅れることもあります。心疾患や脳疾患をお持ちの場合、血液をサラサラにする薬が処方されていることがあり、術後出血のリスクも上がります。
顎骨の質
高齢の方は、骨の密度が低下していることが多く、これがインプラントの安定性に影響を及ぼす可能性があります。骨移植や骨補強が必要になる場合もあり、これに伴う手術の煩雑やそれらに伴うリスクも考慮する必要があります。
高齢の方は手術そのものに対するリスクが高まります。麻酔そのもののリスクや、術後の回復期間が長引くこともあり、適切な対応が求められます。また、入れ歯や他の補綴治療に比べて侵襲が大きいことから、避ける選択肢も検討されます。
インプラント治療の適応年齢は一般的に18歳以上ですが、年齢制限はございません。高齢だからと言って、しっかり噛める楽しみを諦めないでください。若すぎる場合や高齢すぎる場合には、それぞれのリスクを十分に理解し、個別の健康状態や生活状況に応じた判断が求められます。若年者には顎骨の成長完了を待つ選択肢や代替治療を、高齢者には全身の健康状態を考慮した慎重な対応が重要です。インプラント治療を検討する際には、専門医と十分に相談し、自分に最適な治療法を選択することが、長期的な口腔健康を維持するための鍵となります。
監修
市ヶ谷コンシェル歯科クリニック
澤谷祐大(さわたに ゆうた)
獨協医科大学医学部歯科口腔外科にて研鑽を積み、2023年より市ヶ谷コンシェル歯科クリニックにて勤務。大学病院に行ってと言われた親知らず、どんな親知らず抜歯でも、市ヶ谷コンシェル歯科クリニック澤谷にお任せ下さい。
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