銀歯が原因でアレルギー症状が起きるって聞いたことがあるのですが、本当ですか?
はい、本当です。
金属アレルギーを持った方は、歯科治療でアレルギーを引き起こしてしまうことがあります。
食べ物や花粉のアレルギーは聞いたことがありますが、金属にもアレルギーがあるんですね!
そうなんです。歯科治療において金属は多く使われるので、金属アレルギーの方は注意が必要です。
今回はそんな歯科治療と金属アレルギーについて説明します。
よろしくお願いします!
歯医者さんの治療で虫歯の部分を削ると削った部分を補わないと、噛めなくなったり、折れてしまったりすることがあります。そうならないためにも、詰め物、被せものをしましょうと説明を受けることが多いと思います。
それでは詰め物や被せものをするときにどんな材料を使っているのでしょうか。
歯科は以前より、硬い歯の失われた部分を補う手段として同じ硬い材料である金属を用いてきた歴史があります。
保険診療では銀歯になりますと説明を受けるように銀が主成分の材料を使ったりしていますが、実は歯科で用いる金属は合金と言って複数の種類の金属を使っていて、メーカーによっても配合が違っていて、詳しく分からないのが現状です。ほかにも自費の詰め物などでは金を主成分とした合金を使用したりすることがあります。
皆さんは食べ物の中にアレルギーがある方はすごく意識をして、その食べ物を摂取することをさけて生活をされていると思います。
歯科で用いている金属や材料も金属や歯科材料の中にアレルギーがある方にとってはお口の中に入るものなので、気を使って材料選びをしないといけないのです。
それではアレルギーとはどういう病気なのかをご紹介します。
アレルギーは4つに分類され、1型(即時型)2型(組織障害型)3型(免疫複合型)4型(細胞免疫型・遅延型)があります。
歯科との関連性の高いと言われている金属アレルギーは、4型の代表的なアレルギーであり、金属に触れて数時間から数日後に全身の皮膚に発赤、腫脹、湿疹などが生じると言われています。
この症状は、口の中にとどまらず、全身に症状が及ぶ場合が多く、腕時計やアクセサリー等で日常的に金属を装着することも多いことからお口の中の金属が原因で症状が発症したと分かることはなかなかありません。
金属を付けて皮膚が赤くなった、湿疹ができたときに金属アレルギーを疑いますが、それだけでは金属アレルギーという診断を受けることはできません。診断を受けるには病院の皮膚科や検査を行っているクリニックを受診し、パッチテストを受ける必要があります。
パッチテストはアレルゲンとなる物質を背中や腕に48時間貼り、その後の反応を2、3、7日後に検査するといったとても時間と手間がかかる検査です。
歯科材料では、金、白金、銀、銅、パラジウム、ニッケル、コバルト、スズ、水銀、鉛
を調べることが多いですが、それに追加で、歯科用麻酔薬や、レジンの検査を追加で行ったりすることが多いです。
ただ、季節による発汗や、患者さん自身の体調によって検査の結果に異なる場合もあり、明確に結果が出ない場合も多いのです。
某人気Youtuberの方が腕時計をして、皮膚の状態が悪くなって、金属アレルギーと言っていたけれど、その後は問題なく腕時計装着できてるといった動画を見たことがありますが、体調によって左右されることも多いので、少なからず金属のアレルギーはあるのではないかなと思ったりもしておりました。
水気に触れていると金属は腐食したり、錆びたりして溶けだします。
化学の授業などでイオン化傾向を順番で覚えたりしたかと思います。その順番で金属はイオンとして分解されて水に溶けていきます。例えば腕時計などを装着したとき、その場所が汗などの水分で蒸れて、金属の成分が皮膚にしみ込んだことにより、発赤、湿疹といった症状が発症します。
お口の中は常に唾液によって潤った環境です。ほかの皮膚の部分よりも、水気が強い組織であり、唾液も吐き出すことはあまりしないと思いますので、口の中に金属が装着されていると無意識的に金属イオンを取り込んでいることが多いです。
金属アレルギーを避けるにはアレルゲンとなる金属をお口の中に装着しないことに尽きます。食べ物のアレルギーのある方も同じようにその食べ物を避けて生活をしていることと同じです。
金属アレルギーの診断は手間で時間のかかるもので、正確性もやや安定しないものなので、歯科業界全体で歯科用の金属をお口の中に装着しないといった意識を向けることも大事だと考えます。
近年はメタルフリー治療と言って、金属を選択せず、レジンやセラミックを主体とした歯を補う治療が確立されつつあります。プラスチックなどで、金属の代わりできるように保険診療でも整ってきています。金属と比べてプラスチックはややもろいため、破損しやすく、強度を確保するために厚みをとらないといけないため、歯の削る量がやや多くなりますが、全身的な健康を鑑みると、メタルフリー治療はメリットの大きい治療と考えます。
昭和の時代から銀歯が歯科材料として使われてきましたが、平成、令和と時代が進んだ今、新規材料として開発されてきたセラミックやプラスチックでの治療が今後主流になると考えます。我々のグループではプラスチック、セラミック治療に力を入れており、メタルフリー治療では口が綺麗に見えるといったメリットだけではなく、全身の健康にも効果があることを今後も発信していきたいと考えております。
いかがだったでしょうか。
歯科治療と金属アレルギーについて詳しく知ることはできたでしょうか。
金属アレルギーは持っていてもなかなか気付かなかったり、明確な診断をもらえていなかったりする方が多いです。
金属アレルギーと既に診断を受けた方は、歯科治療を受ける際、歯科医師に伝えることをおすすめいたします。
監修
市ヶ谷コンシェル歯科クリニック
澤谷祐大(さわたに ゆうた)
獨協医科大学医学部歯科口腔外科にて研鑽を積み、2023年より市ヶ谷コンシェル歯科クリニックにて勤務。大学病院に行ってと言われた親知らず、どんな親知らず抜歯でも、市ヶ谷コンシェル歯科クリニック澤谷にお任せ下さい。
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