くま先生!
どうされました?
最近、うちの祖母が食事をするのが楽しくないそうなんです。
食べ物が飲み込みづらく、よくむせてしまうみたいで。
それは「嚥下障害」かもしれません。嚥下障害は適切な治療が必要です。
そうしましたら今回は嚥下機能についてや、嚥下機能改善トレーニングについて詳しくご紹介していきますね。
よろしくお願いします!
嚥下(えんげ)機能とは、飲み込みの過程で行われる筋肉運動や神経制御などの機能のことを指します。
通常、咀嚼をすると同時に、喉頭が開き、食べ物や液体が喉を通過して食道に送られます。その後、食道の筋肉運動により、食べ物や液体が胃に正常に送られます。
嚥下機能には、舌や喉の筋肉、喉頭、食道などが関わっています。これらの器官が正常に機能していると嚥下はスムーズに行われますが、嚥下機能に障害がある場合は、食べ物の飲み込みがしづらくなります。
嚥下機能に問題がある場合には、嚥下機能の改善のためのリハビリテーションや食事指導などを行う必要があります。また、脳卒中やパーキンソン病などの神経疾患、口腔内の疾患、食道がんなどが原因で嚥下機能障害になっている場合は、症状に応じた適切な治療も併せて受ける必要があります。
嚥下機能が低下すると、食べ物や液体が喉につまり、気管に入る恐れがあります。
食べ物が気管に入ることを「誤嚥(ごえん)」といいます。
通常、食べ物は食道を通って胃に運ばれますが、誤嚥が起こると食べ物が気管に入り、咳き込んだり、苦しくなることがあります。
誤嚥が繰り返されると、気管支や肺に入ることもあり、誤嚥性肺炎などの合併症を引き起こす場合もあり非常に危険です。
誤嚥を防ぐためにも、食べ物を十分に細かくしたり、柔らかく煮たりするなど食べやすいよう食事の形状を変える工夫も大切です。
嚥下機能低下と歯ぎしりの間には、直接的な因果関係はありませんが、間接的に関連する場合があります。
はじめに、歯ぎしりとは睡眠中に歯をこすり合わせたり、強く噛みしめたりすることを指します。顎の筋肉に過剰な緊張やストレスなどによって引き起こされる症状です。
嚥下機能低下により、咀嚼力が低下すると、舌の筋肉が弱くなり、舌がうまく口腔内で動かせなくなります。嚥下機能低下によって、食べ物を飲み込む際に力が必要になるため、歯を食いしばってしまいます。歯を食いしばると顎の筋肉である咬筋(こうきん)に過剰に負荷がかかり、その緊張が長時間続くと歯ぎしりを引き起こす原因になることがあるのです。
そして、長期間にわたって歯ぎしりを続けていると、歯のエナメル質がすり減って、やがて歯が欠けたりすることがあります。
歯ぎしりに対する治療としては、ストレスや姿勢の改善、マウスピースの着用などがあります。それぞれの症状に合わせた適切な治療を受けることが大切です。
誤嚥を予防するために、以下の方法をお試しください。
正しい姿勢 | 誤嚥を防ぐために、正しい姿勢で食事をとりましょう。 背筋を伸ばし、首を少し前に倒し、顎を引きます。これにより、喉の開口が大きくなり、嚥下がスムーズに行えます。 食べ物を口腔内でよく噛み砕いてから飲み込みます。飲み込む際は、ゆっくりとしたリズムを意識し、一度に大きな量を飲み込まないようにします。 口の中に空気を入れずに飲み込みます。 嚥下を終えた後は、喉の中に食べ物や液体が残っていないか、しっかりと確認しましょう。 正しい姿勢で食事をすることで、誤嚥を防ぎ、嚥下機能を正常に保つことができます。 また、背骨のカーブが整い、呼吸や嚥下に必要な筋肉が正常に機能するようになります。 |
舌の筋力トレーニング | 舌を上下左右に動かす、舌を前に出してキープするなどのトレーニングを行うことで、舌の筋力を強化することができます。 詳しくはこちらの記事もご参照ください。 ★舌の筋肉低下がいびきを招くって本当?★ |
嚥下体操 | 嚥下体操は、嚥下機能の向上を目的とした運動です。 いくつか代表的な嚥下体操の例をご紹介します。 ・お口の体操 口を大きく開けたり、口を閉じたりしながら、口の周りの筋肉を鍛えます。 ・舌の体操 舌を前後左右に動かしたり、口の中をグルグルと回すように動かすことで、舌の筋肉を鍛えます。 ・口腔内の筋肉強化エクササイズ 口の中の筋肉を使って、頬を膨らませたり、すぼめたりする運動を行います。 |
首のマッサージ | 1.背筋をしっかり伸ばした状態で椅子に座りましょう。 2. 頭をゆっくりと右側に傾け、右手で頭を軽く押して、気持ち良いと感じる状態でしばらくキープしましょう。 3. 姿勢を元に戻し、左側も同様に繰り返します。 このマッサージを5回程度繰り返してください。 |
肩の上げ下げ運動 | ①姿勢を正し、肩をゆっくりと上げ、耳の位置まで近づけるようにしましょう(頭が前にでないようにお気を付けください) ②そのまま、ゆっくりと肩を下げ、元の位置まで戻します。 ③1~3を数回繰り返しましょう 肩の上げ下げ運動をするときは、力を抜いた状態でゆっくりと動かすことがポイントです。 力んだ状態で行うと、首や肩に負担をかけてしまうのでご注意ください。 |
毎日継続的に行うことで、誤嚥予防につながります。無理のない範囲で意識的に行ってみましょう。
今回は嚥下機能を高める重要性についてご紹介していきました。
嚥下がしづらいと、食事をするのも楽しくありませんよね。
しかし、今回ご紹介したトレーニングを行うことで、舌の筋力が改善され、誤嚥予防にもなりますので是非お試しください。
嚥下しづらい等の症状が出たら、歯科医師や言語聴覚士による適切な治療を受けることも大切です。
予防歯科のことでなにか気になることがあれば、ぜひ当院までお気軽にお越しください。
監修
市ヶ谷コンシェル歯科クリニック
澤谷祐大(さわたに ゆうた)
獨協医科大学医学部歯科口腔外科にて研鑽を積み、2023年より市ヶ谷コンシェル歯科クリニックにて勤務。大学病院に行ってと言われた親知らず、どんな親知らず抜歯でも、市ヶ谷コンシェル歯科クリニック澤谷にお任せ下さい。
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