くま先生!口内炎が全然治らないんです..
お辛いですね。そこまで辛ければレーザー治療をされてみますか?
はい。なんか白い膜までできてしまっていて..
ん?それはもしかしたら口内炎ではなく他の症状の可能性があります。
ちょっとお口の中みせてもらってもいいですか?
えぇ?ぜひお願いします!
口腔カンジダ症(oral candidiasis )は、真菌感染症の一つであり、カンジダと呼ばれる真菌が口腔内に感染することによって引き起こされます。
口腔カンジダ症の主な症状には、口腔内の白い斑点、舌や口蓋(こうがい)の乳頭(にゅうとう)の腫れや赤み、口の中の痛みや灼熱感、口腔内の渇きなどが挙げられます。また、食べ物の味覚の変化や嚥下(えんげ)困難などの症状も現れることがあります。
口腔カンジダ症は、義歯の不適合、免疫力の低下、抗生物質の長期使用、口腔衛生状態の不良、HIV感染症、糖尿病やがんなどの悪性腫瘍などで免疫力が低下することが原因で発症されやすくなるといわれています。
また、唾液の量が減少すると、口腔内のバランスが崩れ、口腔カンジダ症を引き起こされやすくなる恐れがあります。唾液は、口腔内の潤滑作用を持ち、細菌や真菌の繁殖を抑える役割を果たしています。口腔内が乾燥している状態が長期間続くと、細菌や真菌の繁殖が増え、感染症のリスクが高まります。
口腔カンジダ症には、偽膜性口腔カンジダ症と萎縮性口腔カンジダ症の2つのタイプがあり、症状によって診断されます。
偽膜(ぎまく)性口腔カンジダ症(Pseudomembranous candidiasis)
偽膜性口腔カンジダ症は、口腔内に白色の乳頭状の斑点や斑塊(ふんかい)が現れる症状です。これらの白色の斑点は、カンジダの真菌の増殖によるものであり、斑点をこすると簡単に剥がれることが特徴です。偽膜性口腔カンジダ症は比較的軽症なことが多く、免疫力の低下や抗生物質の使用、口腔衛生の状態不良などが原因として挙げられます。
萎縮(いしゅく)性口腔カンジダ症(Erythematous (atrophic) candidiasis)
萎縮性口腔カンジダ症の典型的な症状として、口腔粘膜の赤み、薄い白色の乳頭状斑点、痛みや灼熱感、お口の中の異物感や味覚の変化などが現れます。このタイプの口腔カンジダ症は、がん治療や糖尿病、HIV感染による免疫力の低下や口腔の乾燥、義歯の不適合などによる口内の組織の損傷などが原因として挙げられます。
口腔内の組織が萎縮することで口腔粘膜が薄くなり、カンジダの真菌が感染しやすくなります。
偽膜性口腔カンジダ症は比較的、軽度の症状の場合が多いので、クリーニングを行い、清潔な口腔状態を保つことで症状が改善していく場合が多いです。
一方、重度の場合には、抗真菌薬により真菌の増殖を抑える治療を行います。一般的には、経口的に服用する抗真菌薬(イトラコナゾールなど)や、口腔内に塗るための抗真菌薬(ナイスタチンやムコゲルなど)が使用されます。
口腔内が健康の方は、カンジダの真菌に対して十分な免疫力を持っているので、移ったりする可能性は基本的にはありません。
ただし、口腔カンジダ症の真菌はすべての人に存在するので、感染リスクはゼロではありません。
特に、免疫機能が低下している人や幼児、高齢者は感染しやすい傾向があります。
今回は「口腔カンジダ症」についてご紹介してきました。
口腔カンジダ症の感染を防ぐためには、定期的な歯科検診や毎日の歯磨きで清潔な口腔衛生を保つことです。高齢者の方はお口の中が乾きやすくなる傾向があるため、こまめな水分補給を意識して行いましょう。また、必要に応じて、カンジダ感染の潜在的な原因を取り除き、免疫力を改善するための対策や糖尿病の管理などを行う必要があります。
口腔カンジダ症と口内炎は、症状が似ているため区別がつきづらい場合があります。
口腔カンジダ症をほっておくと、症状が悪化する可能性があるため、早期の治療が必要になります。症状に不安がある場合は、歯科医師に確認してもらいましょう。
監修
市ヶ谷コンシェル歯科クリニック
澤谷祐大(さわたに ゆうた)
獨協医科大学医学部歯科口腔外科にて研鑽を積み、2023年より市ヶ谷コンシェル歯科クリニックにて勤務。大学病院に行ってと言われた親知らず、どんな親知らず抜歯でも、市ヶ谷コンシェル歯科クリニック澤谷にお任せ下さい。
この記事を読んだ方は他にこんな記事を読んでいます。
市ヶ谷コンシェル歯科クリニック