くま先生。歯茎にできものができたみたいなんです。診てもらえますか?
もちろんです。ではお口をあけてください
はい。歯茎に少し膨らみがあるのわかりますか?口内炎ですかね?
紛らわしいですが、これは口内炎ではなくフィステルですね。フィステルについて詳しく解説していきますね!
よろしくお願いします!
歯の根に炎症がある場合、進行するとやがて歯茎に白いニキビのようなできものができることがあります。その名を「フィステル」、別名「瘻孔(ろうこう)」とも呼ばれます。フィステルとは、膿(うみ)を出すための出口です。一見、口内炎と間違えられやすいですが、口内炎は触ると痛みが伴うのに対して、フィステルは触っても痛みは感じないのが特徴です。
歯周病がかなり進行してしまっていたり、インプラント周囲炎になった際にフィステルが出現しやすいといわれています。(適切なケアを行っていればインプラント周囲炎になることはありません)
神経治療を行った歯は他の歯と比べて、もろい傾向にあります。過度な力を加えると歯根部分にヒビができ、そこから細菌が侵入し、フィステルの原因になることがあります。そのため、食いしばりや歯ぎしり癖がある方は、歯科医院でナイトガードを作成しておくことをおすすめします。
そのほかの要因として、銀歯の被せものの中が虫歯になっていたり、歯の神経治療が適切になされていない場合に起こりやすいといわれています。
フィステルは治療をしない限り、つぶれたり、また膨らんだりを繰り返します。フィステルが潰れて膿がでても完治したと思ってはいけません。完治した状態に見えても、歯の内部に感染や炎症が広がっている恐れがあります。根本的解決を図らない限り、また再発する可能性が非常に高いです。
基本的に見た目以外は自覚症状がなくあまり痛みが生じないケースが多いので、ついそのままにしてしまう患者さまも非常に多いのですが、そのままにしておくと最悪抜歯するしかなくなる恐れがあります。フィステルができたら決して自分でつぶそうとせずにすぐに歯科医院にお越しください。
フィステルができたら、歯科医院でレントゲン写真を撮って、歯の状態を正確に確認することが大切です。膿を取り除くだけでなく、根本的解決を図ることが大切です。被せものを外し、歯の内部をきれいにしていく必要があります。
特に銀歯の場合だと、年月とともに銀歯と歯の間に隙間が生まれ、そこからプラークが入り込み、虫歯が進行してしまうことがあります。このタイミングでセラミックに変えることもおすすめです。
また、歯の根っこの形は人それぞれ異なりますので、稀に複雑な構造をしている歯の根っこの場合、前回の神経治療の際に完璧に取り除けておらず、歯の根の中にまで炎症が広がり「フィステル」の原因となっている場合があります。そうなると神経治療をやり直す必要性があるのですが、やはり1回目のときよりも多くの工程が必要となりますので、治療期間は長引きやすいです。
今回はフィステルについて解説してきました。
フィステルが現れたら、まずはしっかりとうがいをして早めに歯科医院に受診しましょう。
フィステルが現れると治療期間が長引きますので、普段から定期的に歯科医院で歯の状態をチェックしてもらうことをおすすめします。
監修
市ヶ谷コンシェル歯科クリニック
澤谷祐大(さわたに ゆうた)
獨協医科大学医学部歯科口腔外科にて研鑽を積み、2023年より市ヶ谷コンシェル歯科クリニックにて勤務。大学病院に行ってと言われた親知らず、どんな親知らず抜歯でも、市ヶ谷コンシェル歯科クリニック澤谷にお任せ下さい。
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