大人になってから、気になっていた歯並びを治そうかなと考えている方、子どもの頃、矯正をしていたけれどもう一度しようかなと考えている方など、矯正に興味を持たれている方はとても多いのではないでしょうか。
健康上の理由はもちろん、美意識の高まりから、矯正への注目は高まって行く一方ですが、「もし自分が矯正をしたら、どうなれるんだろう」というイメージは矯正への知識がないと、明確に湧かないものです。
この記事では「矯正」についての基礎的な知識を歯のコンシェルジュくま先生が紹介します。ぜひこの記事を参考に、矯正について考えてみてください。
まずは矯正の仕組みを見ていきましょう。
人間の歯の根元には、「歯槽骨(しそうこつ)」と呼ばれる歯の根っこを支えるための骨と、歯の根っこと歯槽骨を繋げるクッション、「歯根膜(しこんまく)」があります。
歯に力を加えることで、この歯根膜が伸び縮みし、歯槽骨の代謝で少しずつ歯が動いて行きます。
この作用を矯正器具によって、操作し、徐々に歯を動かして、美しい歯並びや正しい噛み合わせを目指していきます。
歯の矯正をするとき、その方法には大きく分けて、4種類あります。
矯正用のワイヤーと留め具(マルチブラケット)を用いた矯正方法です。おおよそ2年ほど治療に時間がかかります。幅広い症例に適応できるマルチさや歯を移動する効果が高いため、一般的な治療法として、このワイヤー矯正が用いられます。歯の表面に設置したワイヤーとマルチブラケットで徐々に歯を動かしたい方向に移動させていきます。
デメリットは、ブラケットに食べ物の汚れがつきやすく、歯磨きもしにくくなるため、虫歯ができやすくなってしまう点や、ワイヤーの調整のために、3〜6週間ごとの通院が必要になる点、その際には痛みを伴うことがある点が挙げられます。
文字通り、歯の裏側に矯正装置を設置する方法です。ワイヤー矯正にくらべて、目立ちにくいのが最大のメリット。矯正しているのがバレたくないという方や人前に出る機会が多い社会人など、審美性が気になる方におすすめです。
しかし、歯の裏側に装置をつけるので、舌に当たり、発音しにくくなる方もいます。また、通常のワイヤー矯正に比べ、費用面や期間がより長くなる場合があるのでしっかりと確認しましょう。
着脱式の透明なマウスピースを作成し、装着して、歯並びを改善していく方法です。食事の際や歯磨き時には取り外すことができますが、1日20〜22時間の使用を推奨しています。人によりますが、期間は3ヶ月から2年ほどで、人によって異なりますが、矯正時の痛みも少なく、審美性を担保できる人気の矯正方法です。
デメリットとしては、1日の使用時間が20時間を下回ると、歯の動きが悪くなる点や、マウスピースだけではむずかしい症例もある点が挙げられます。
これは、①〜③と異なり、歯を動かす矯正ではないのですが、歯の形を一定に整えたいという場合にセラミックの被せ物を装着して、歯の形や大きさ、ちょっとした歯並びの乱れを改善する治療法です。
最短で即日に施術が完了するため、近年とても人気のある処置ですが、正確には矯正ではありません。
歯列矯正に必要な期間の目安は一部だけを矯正する「部分矯正」であれば、半年〜10ヶ月ほど、全部を矯正する場合は、1年半以上かかります。
これは個々人の歯並びや口内環境によるもので、虫歯がある方や、歯周病が進行している方は先に治療が必要になります。
歯列矯正は短期間で治療が完了するものではないということがお分かりいただけたと思いますが、それだけ時間がかかってしまうのにも理由があります。歯は動かすための矯正している時間に加え、動かした歯をそのままの場所に固定するための時間が必要なのです。
時間をかけて歯を動かして矯正するように、歯は一生動き続ける性質があります。舌の動きが特徴的な人は特に動くのも早いでしょう。
矯正後も、気を抜くと、すぐに元どおりになってしまうということがあります。これを防ぐために、矯正の治療が終わったら、「リテーナー」の装着をお勧めします。
リテーナーは歯の動きを防ぐ保定装置で、キレイに整った後の歯並びを今の位置で固定させるための装置です。歯を安定させるためには必須のアイテムで、ワイヤー型や、マウスピース型があります。
矯正大国であるアメリカでは、一生の間に2〜3回矯正をするのは珍しいことではありません。日本においても、子どもの頃に歯並びを直したけれど、また気になってきたという方は多いのではないでしょうか。一度矯正をした歯にはマウスピース矯正で微調整をしていくというやり方がおすすめです。
人によっては、歯並びがよくなると顔の輪郭や、口元の美しさの指標となっている「Eライン」がすっきりと整うことがあります。変化には個人差がありますが、中には美人になったと感じられる方もいらっしゃると思います。
また、噛み合わせが良くなることで、顔の印象に変化が現れることもあります。噛み合わせが悪いと自分でも気がつかない間に顔の筋肉に歪みが現れ、左右のバランスが崩れることも。それだけでなく顎関節症や肩こりの原因にもなるので、噛み合わせを直すことは重要です。
ちなみに、「親知らずを抜くと小顔になる」という話がありますが、これは都市伝説です。親知らずを抜いても、顎の形は小さくならないので、特に変化は見られないでしょう。
そもそもなぜ歯並びが悪くなってしまうのでしょう。
歯並びが悪くなる理由には遺伝に加えて、環境的な要因があります。環境的な要因は自分で気をつけることで改善していけることなので、ぜひ以下の6つの悪癖に気をつけてみてください。
これらの行動は、口の周りの筋肉を緩ませたりたるませる原因になっており、歯や噛み合わせに影響を与えます。
せっかく矯正をしても歯は一生動き続けるため、これらの悪癖によって、また元どおりの歯並びや噛み合わせに戻ってしまうことも考えられますので、気をつけてみてください。
歯列矯正にかかる期間は数年が目安で、その費用は100万円を超えることも珍しくありません。時間もお金もかかるからこそ、正しい知識を持って、矯正について、知っておく必要があります。
ご自身のライフスタイルと予算に合わせて、どんな矯正をしたらいいか、矯正をしてどんな姿になっていたいか、ぜひこの機会に考えてみてください。
監修
市ヶ谷コンシェル歯科クリニック
澤谷祐大(さわたに ゆうた)
獨協医科大学医学部歯科口腔外科にて研鑽を積み、2023年より市ヶ谷コンシェル歯科クリニックにて勤務。大学病院に行ってと言われた親知らず、どんな親知らず抜歯でも、市ヶ谷コンシェル歯科クリニック澤谷にお任せ下さい。
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